Club Styleを紐解く
カスタムジャンルとして定着して早数年。
すっかり”クラブスタイル”という名称も馴染みの名詞となったのでは無いでしょうか。もちろん好き嫌いは別として。ベース車両がダイナからM8ソフテイルに移行しても、このスタイルは廃ること無く普及しています。
この流れを遡ると、アメリカから始まったFXRシーンの復活に行き着きます。
“Sons of Anarchy”。架空の都市を舞台にアウトローMCの活躍を描いた本作品は、熱狂的なムーブメントを生み出しました。
それまでのハーレーシーンでは、不人気車種であったFXRやFXRT。日本でも「フレームサイドの三角部分が日本車っぽくない?」なんて話はよく聞く話でした。
しかしながら、流行と共にそんな視点は過去のものに。さらに、高いフレーム剛性と軽量な車体から生まれる高いライディング性能に注目が集まります。
FXRをベースに、ハイスピードツーリングやスタントライドといった新たなトレンドに派生し、ブームは加速していきました。
そんな流れの中では、ダイナ・ローライダーS(FXDLS)が登場したことは至極当然といったところです。
時は流れ2018年。
この年に開催されたHDディーラーによるカスタムコンテスト、”Battle of the Kings”。
その受賞マシンを見れば、クラブスタイルが一過性の流行ではないという事実が確認できます。2018年にデビューしたM8ソフテイルをベースに、FXRTフェアリングを取り入れたカスタムが2台もトップ5入を果たしたのです。
カスタムシーンのトレンドを、ことごとくNEWモデルに反映させているハーレーダビッドソン。そんな彼らがこのトレンドを見逃すことはありません。
そして2022年。
FXRTのスタイリングを現代的に解釈したNEWモデル、FXLRST(ローライダーST)が登場。日本においてもデビューと同時に火が付き、最もHotなモデルとなっています。
ローライダーS、ローライダーSTの投入は、ハーレーダビッドソン社自体がこの分野、”クラブスタイル”に力点を置いている証であると言えます。
そんなクラブスタイルについて、「そもそもクラブスタイルとは何なのか?」という点から、Blindtigerが提案する「クラブスタイルを作る際、欠かすことのできないアイテム」や「イチオシのカスタムブランド」、「本場クラブスタイルマシンの紹介」まで一挙にお届けします。
クラブスタイルの成り立ち
先ずは「そもそもクラブスタイルってどんなスタイルなのか?」というところから明確にしていきます。今までは雰囲気で何となく理解していた方も、これを読めば大丈夫。
クラブスタイルの”クラブ”とはもちろんアメリカに存在するモーターサイクルクラブ(MC)を意味します。
彼らがFXRやダイナモデルをベースとし、より速くより確実にハイウェイを走る為に昇華させたスタイルのカスタム、つまりクラブバイクのことを指します。
本場のMCメンバーは、ツーリングモデルであるロードキングを愛車に選ぶパターンも多い様です。
クラブバイクの起源を辿ると60年代~70年代、当時のアウトローMC がカスタムしたチョッパー、フリスコスタイルからの派生とも考えることもできます。
日本でクラブスタイルというと、クラブバイクの要素とは別の要素も含んでいると感じます。
それが、2010年頃に現れた「UNKNOWN industries / アンノウンインダストリーズ」 をはじめとしたウィリーなどのスタントライドをキメル為のスタイル。
派手なペイントにハイパワーエンジンなどで戦闘力をアップしたFXRやダイナが彼らの愛車となっています。
そして、近年では「Kraus / クラウス」などがそうですが、高級ハイパフォーマンスパーツで武装し、走行性能をアップさせる、ハイエンドなスタイルも台頭しています。
クラブバイク・スタントライド・ハイパフォーマンス
これら3つの要素が、日本で言われているクラブスタイルという言葉に含まれています。
次章よりクラブスタイルを目指す上でのカスタムポイントを紹介します。
先ず代表的なポイントはエキゾースト、シート、ハンドル周り(ハンドルバー+ハイライザー)。
さらに、最近ではライト系やカーボンパーツをカスタムに取り入れる傾向も強くなっています。
次章では、各パーツについて深掘りしていきます。
定番カスタムポイント
先ずは”ここだけ押さえとけ”と言える定番のポイントを紹介します。逆に言うとここだけ押さえてしまえば、基本的なスタイルが構築できてしまいます。
少ないパーツでスタイルの大まかな部分が構築できてしまう点も、クラブスタイルの魅力でしょう。
何といってもエキゾースト。バイクカスタムの定番ですよね。
ハーレーに限らずバイクを買ったら先ず交換したくなる部分です。そして、クラブスタイルでの定番は2-1スタイルのエキゾースト。
近年では、ステンレス材を用いて製造されるエキゾーストが主流です。
パフォーマンス・ルックス・サウンド
と三拍子が揃ったアイテムが好まれます。
Anti-Reversion Exhaust System – M8 Softail Raw
“Thrashin” × “Feulling” でリリースされたハイパフォーマンスエキゾースト。
メーカー曰く「このエキゾーストの設計には、1年以上の歳月を費やした」、
「数えきれない時間をダイノルームで過ごした」との談。
エキゾースト開発にかける思いが詰まった一品です。
続いてはハンドル周りに焦点を当てます。
マシンのスタイリングを大きく左右する点はもちろんのこと、ライディングポジションへの影響も考慮したいポイントです。
また、ライディング中はライダーの視界に入ってくるパーツなので、ハンドルバー自体のデザインも納得のいくパーツをチョイスしたいところ。
クラブスタイルにおいてのハンドル選定の定石は、ハイトのあるライザー+スーパーバーorドラッグバーの組み合わせ。
プルバックライザーを用いて、ポジションを手前に持ってくることで、快適なハイスピードクルーズを実現させます。
OG 10.5” Pull Back Risers
3ピースデザインでプルバックタイプの他、ストレートタイプも選択可能なライザーです。
トップクランプのカラーバリエーションは、10種類をラインナップ。カスタム性の高さも魅力的なアイテムです。
また、トップクランプの形状は、スタンダードとM8ソフテイル(デジタルゲージ)を用意してます。
ハイスピードクルーズやスタントライドがバックボーンなカスタムなだけに、見た目はもちろんのこと、機能性も考慮されたシートが好まれています。
大まかなスタイルでいうと”ガンファイター”と呼ばれるシートデザインをベースに、背中部分のサポートを延長したハイバックデザインが定番。
やはりブッ飛ばすスタイルには腰のホールド感が大切です。
OG × Saddlemen Custom Step Up Seat
クラブスタイルシートの筆頭株SaddlemenとOriginal Garage Motoのダブルネーム。
高い装着率がクオリティの高さを保証するSaddlemenのStep Up Seat。ただ、それ故に他のマシンと被ってしまう、そんなジレンマにやきもきしているハーレー乗りも多いでしょう。
そんな問題の解決策の一つがカスタムシート。
表皮とステッチの組み合わせでオリジナリティ-を演出します。自身で考え抜いたカスタムシートは、マシンに装着した際の満足感も格別でしょう。
一歩先行くカスタムポイント
さて、定番ポイントを押さえた皆様は、既にクラブスタイルのマシンを駆っていることでしょう。ここからは、定番ポイントを押さえた上で、他のマシンとの違いを演出する一歩先ゆくアイテムを紹介していきます。
底しれぬカスタム沼へようこそ。
ストックでもLEDを装備しているM8モデルがベースでしたら、カスタムの必要性を疑う声も上がるでしょう。
しかし、”今、ライトのカスタムが熱いんです!”
一括りにライトと表現していますが、ハーレーに使用されているライトは、ヘッドライト、テールライト、ウィンカー、ドライビングライト(モデルにより)があります。
クラブスタイルのカスタムにおいての”熱い”部分とは、ヘッドライトとドライビングライトを指します。
Low Rider ST LP6 Amber Headlight Bracket Combo Kit
M8ソフテイルで最もHotなローライダーST。特徴的なフロントフェイスは、今となっては往年名車と表現できるFXRT/Pをベースとしながらも、現代的なスタイリングに昇華された。
アグレッシブな走りを予感させるハイスピードクルーザーです。
そんなローライダーSTに、Baja Designs製LP6を組み込むコンプリートキットになります。
Baja Designsは元々、アメリカントラックのカスタムなどで使用されるライトブランドですが、近年のパフォーマンス系カスタムにおいて、このライトを流用することがトレンドの最前線。
MoonsMC V3 Dual Function White / Amber LED Light Bar
ハイスピードクルーズを信条とする、パフォーマンスマシンには必須となったライトバー。
ルックスのアップデートのみならず、視界の悪くなるナイトクルーズ時、視野を広げてくれる機能性も魅力的。そんなライトバーの新作は、ホワイト&アンバーのデュアルファンクション。
続いてのキーワードはカーボンです。
ローライダーSTやローライダーSを始めとするクラブスタイルのベース車両は、”黒”の面積が多いダークカスタムのトレンドに則った仕様。
黒が占める割合の高い車両は、アウトローな印象を高め、精巧なイメージを持つ一方、他との違いが薄く遊び心に欠けていまうもの。
そこで活躍するアイテムがカーボンパーツ。マシン全体のダークな印象はそのままに、”黒”の中にし視覚的なコントラストを生み出します。
また、軽量で高剛性なカーボンは、パフォーマンスを求めるクラブスタイルにとって相性が抜群に良いのです。
OG Softail Lowrider S Carbon Fiber Fender Kit
Standard 3K TwillとHexagonal。2つの編み込みパターンが用意されているカーボンフェンダー。
フェンダーとブラケットが別体の作りになっており、ホイールとタイヤのセットアップに合わせて、フェンダー位置をベストに調節可能です。
ピックアップアイテムの〆はクラッシュバー。
元はスタントライダーの為に設計されたアイテム。エンジンガードよりスタイリッシュな見た目と確かな保護性能を有し、クラブスタイルに違和感無くフィットします。
走りに気を使うカスタムに使われるだけに、バンク角に配慮された設計がされている点もストロングポイントです。
クラッシュバーは、始まりがスタントライダーの為のアイテムというだけあって、機能性を重視したどことなく無骨な印象を受けるアイテムが多いと感じています。
そんな中にあって、このOG Highway Peg Crash Barはスタイリッシュな一品です。
適切に導き出されたバーの位置は、必要なバンク角を確保しながらも万が一の転倒時には、バイクをしっかりと保護します。
ピックアップブランド
ここからは、ブランドピックに移りたいと思います。近年のカスタム傾向として、誰もが知るメジャーな大手ブランドよりも、カスタム屋上がりの新興ブランドがトレンドの中心です。
ECプラットフォームの復旧により、D2Cの流れが加速している現代の社会情勢は、ハーレーシーンでも見受けられます。
カスタムショップが自社ECサイトを容易に制作できるようになったことで、今までは、自社のカスタムで使用するだけだったオリジナルパーツも、世界中の人々が購入するパーツとなりました。
そんな時代背景と、ハーレー乗りのオンリーワンを求める欲求とが呼応するように、次々と新たな新興ブランドが乱立する時代へと突入しています。
海外のクラブスタイル
“パーツ”、”ブランド”と順を追って参りました。
ともなれば、「そのパーツを使用するとどうなるの?」という声が聞こえてくる。
それぞれの要素単体の魅力と、別の要素との掛け算により生まれるオリジナリティー。
海外勢のカスタムマシンをピックアップしていきますので、その片鱗を感じてください。
FXLRST 2022 / Raymond & Hazel Wetch / Original Garage Moto
二輪に陶酔するフォトグラファーの新しい相棒。
オーナーのRaymond氏は、Klock WerksやGastown Supply Co.といったハーレー界隈とも仕事をしているコンテンツクリエイター。
写真にも登場している女の子は、氏の愛娘Hazel。なんと1歳の誕生日から、共にライディングをしているというから驚きです。
▼詳しくはコチラ▼
https://www.blindtiger.jp/blog3/fxlrst-raymond-and-hazel-wetch/
Jess’s 2019 Street Bob
2019年式ストリートボブをベースに、要所を抑え仕上げられた一台。
M8ソフテイルが初めて世に登場した2018年。オーナーであるJess氏は、当初予定したDynaをベースとしたプロジェクトをキャンセルし、この新しいプラットフォームに希望を託した。
▼詳しくはコチラ▼
https://www.blindtiger.jp/blog3/fxbb-jesss-2019-street-bob/
Jake’s 1993 FXRS Convertible
「FXRSはコンバーチブルではなく、ローライダーだったような…という」気持ちはグッと飲み込んで。
今でこそ人気車種となったFXRですが、もはや30年前の車体。エボリューションも旧車にカテゴライズされる昨今。ライディングを楽しむ為には、それなりのアップデートは必要不可欠。
オーナーであるJake氏はストックのルックスとフィーリングに拘り、ゆっくりと手を動かしました。
▼詳しくはコチラ▼
https://www.blindtiger.jp/blog3/fxbb-jesss-2019-street-bob-2/